/ 社会的インパクト

自分の与える社会的インパクトについて考える

(写真はNYTimesより引用)

80000 Hoursという、ケンブリッジ大学の教授が共同創業者の1人を務めるキャリア指南サイトがあります。

このサイトの中で、1人の人間が社会に与えられるインパクトはどれほどのものかについて書かれたガイドがあります。

Can one person make a difference? What the evidence says.

No matter your job, here’s 3 evidence-based ways anyone can have a real impact

これらの記事には以下のようなことが書かれています。

イギリスの1人の医者が生涯医療に従事することで伸びる寿命は全て合わせても140年程度である。実は、医者でなくてもこれ以上の社会的インパクトを生むことはそれほど難しくない。

例えば、年間7500ドルを"Against Malaria Foundation"に寄付すれば年間1人の人(特に子供)を救うことが出来る。それを40年続ければ40人の命を救うことが出来る。

あなたが独身で税引き後年収が54000ドル(600万円)だったとすると、あなたの富は既に世界のトップ1%に入っている。(アメリカでは大卒のほとんどがこの条件に当てはまる。) そこから、多少収入が増えたところで、幸福度は上がらない。それだったら収入の10%を質の良い非営利団体に寄付した方がよほど社会的インパクトは大きいし、自身の幸福度も上がるだろう。

ということです。こちらは世界の収入格差に関するグラフです。

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また社会的インパクトの総和というのは、一人あたりに与えるインパクトとインパクトを与える人数を掛けたものなので、何か世界のためになることをするなら、これを最大化出来ることを考えようと伝えています。

また、既に多数の人が気にしている事というのは、既に多数の人がボランティアなど関わっているので、そこに関わっても自身の与える社会的インパクトは少ない。まだあまり多くの人に知られてないが社会的な問題の大きい事柄に関わった方が自身が社会に与えるインパクトは大きくなりやすいだろう。ということも書かれています。

これらの記事は、どちらかというとNPOに関わる人など直接こうした社会問題に関わる人を対象にした部分も多いのかなと思ったのですが、社会的なインパクトを考えるというのは誰でもした方が良いことかもしれないと思いました。

例えば、起業家で言うと、"Make the world a better place"(世界をもっと良い場所にしよう)みたいなのが標語みたいになっているわけですが、大して社会にインパクトを与えないような事業もあるわけです。アメリカだと、寄付文化があって儲かったお金を寄付していたりするので大きなインパクトを与えていたりもしますが。

また、本日NYTimesの「To Understand Rising Inequality, Consider the Janitors at Two Top Companies, Then and Now」という記事を読みました。

この記事では40年前に世界トップレベルのテクノロジー企業であったコダック社と、現代のアップス社の清掃員の待遇を比較することで、この40年での格差を具体的に説明する記事です。長文ですが読み応えがあるので、英語の得意な方は是非読んで見て下さい。

例えば40年前のコダックでは清掃員も正社員として働いていたため、時給自体は今とほぼ同じでも、年4週間の有給が与えられることや、ボーナスがあること、学費補助があることなど、現在アップルで清掃員として働く場合とは大きな違いがあります。

多くのテクノロジー企業では、会社のコアの部分を除き、清掃員などの下位クラスの仕事のほぼすべて、ミドルクラスの仕事であっても多くの部分をアウトソーシングしています。

逆に、高い教育を受け、高いスキルを持つ人は10万ドル(生活費の高いシリコンバレーではそれでも高いとは言えない)以上の給与を得て、良い人材を引きつけようとする企業は豊富な福利厚生を提供しています。

これって、しょうがないことかなとも思いますが、局所的にはマイナスの社会的インパクトが与えられているということになります。"Make the world a better place"を叫ぶ人たちがたくさんいる場所で局所的に社会的インパクトがマイナスになっているのは皮肉なことです。

またアメリカだと2020年に人口の50%がフリーランスになると言われています、そして日本でも同じようなことが起こっていくと思うのですが、個人的に思うのが「会社に縛られず、気楽に過ごしたい」的な人が多すぎるんじゃ、みたいなことです。

例えば、最近読んだ「モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには」という本を読みました。この本の筆者である四角大輔さんは、ニュージーランドからリモートで仕事をしていて毎日のんびり暮らしているみたいなことを書いています。こういうミニマリズム的な考え方や生き方もいい、とは思いますが、そこで余剰するパワーを社会的インパクトを与える方向に使ったほうがいいんじゃない、というようなことを少し考えました。

といっても、僕がこれまでに与えた社会的インパクトはとても少ないわけなので、"Make the world a better place"の本来の意味であろう、自身が与える社会的インパクトの最大化の方法についてまずはもっと考えていきたいなと思った次第です。